亀田潤一郎

幾多のお財布をウオッチしてきた結果、私はある法則の存在に気づいた。それは……。 「稼ぐ人は必ず長財布を使っている」 という法則である。 人並み以上に稼いでいるビジネスパーソンで、2つ折りのお財布を使っている人はひとりもいなかったのである。 そして、稼いでいる人のお財布は、「薄い」という共通点も持っていた。無駄なカード類や領収書などが入っておらず、お札だけが入っているため、薄いのだ。 「なぜ、長財布を使うのですか?」 「だって、お札が伸び伸びできて居心地がよさそうじゃないか」 稼いでいる人の多くはお金を擬人化して、あたかも自分のパートナーであるかのように語る。彼らにとって、お金は単なる交換の手段ではなく、人生を豊かにしてくれるよきパートナーなのだ。だからこそ、お金が気持ちよく暮らせるよう、美しい長財布の中に入れて、お金を丁重に接遇しているのだ。 私は、彼らとの意識のギャップに衝撃を受けた。私のようにお金を恨み、汚れた2つ折り財布で冷遇している人間のところに、お金が喜んでやってきてくれるはずなどなかった。